タイの農産物・食品の輸入検疫・検査

タイの農産物・食品の輸入検疫・検査

 

◎ 本章のポイント 本章は、輸出した商品がタイに到着してからの手続の解説である。本来、この手続は タイ側の輸入者が手配または自ら行うので、輸出者は関係がないと考える人も多い。し かしこのような情報を輸出者側が知っておくことは、円滑な貿易のためにも必要である し、日本側輸出者がやらなければならないことの理解にも役立つ。 日本の輸出者は、この章を参照して、日本側で用意しなければならない書類や手続の 重要性を再確認することができる。 本章は以下の 2 つで構成されている。 Ⅰ.タイの動植物検疫手続 Ⅱ.タイの食品検査の手続 Ⅰ.タイの動植物検疫手続 検疫の必要がある貨物(植物、動物、水産物)につき、必要な手続をフローチャー トとともに解説している。 Ⅱ.タイの食品検査の手続 上記以外の食品に該当するものは、衛生安全上の必要性から、食品としての輸入許 可が必要である。そのための必要な手続をフローチャートとともに解説している。 -54- Ⅰ.タイの動植物検疫手続 1. 動物製品の場合 食品衛生の観点と、防疫の 2 つの観点からの輸入許可が必要となる。 1)衛生面の手続 食品衛生の観点から、まず輸入者は輸入者としてのライセンスを保健衛生局から取得す る必要があり、そこで、輸入品目を登録する。 加工が施される場合、製造工場(製造場所)が安全で適格であることが、ライセンスの 取得に必要である。加工食品の場合は、食品の項目(P.64 以降)を参照。 その上で防疫関係の手続が必要となる。 2)検疫面の手続 現在、日本からは鶏肉(ただし、卵は可能)と牛肉は輸入禁止となっている(狂牛病お よび鳥インフルエンザの発生があったため)。その他の豚や家禽類およびその製品は輸出可 能である。 動物においては、日本で輸出する際に動物検疫を受ける必要があり、その証明書が輸入 の際にも必要となる。 【表4-1】日本からの輸出の可否と手続が必要なもの 輸出できないもの 輸出できるもの 日本の動物検疫の輸出検査が 必要なもの 牛肉 鶏肉 豚肉、鶏以外の家きん肉 皮(牛、豚) 偶蹄類(羊、豚)、アヒル、七面鳥、う ずら、がちょう、犬、ウサギ、みつばち の肉、骨、毛 加工品としてはソーセージ、ハム、ベー コンも対象、 -55- 3)検疫プロセス 検疫の手続には1)輸入前手続と、2)輸入時の手続の2段階の手続が必要となる ①輸入前の手続 ・生きている動物、あるいは動物関連製品を輸入する場合には、輸入の 15 日前までに 輸入港の検疫所に申請して許可を得る必要がある。 ・検査官は、輸出国の該当動物の傷病実態を検査し、輸入許可証の発行を決定する。 輸入許可証の内容は定期的に、輸出国の傷病実態等を考えて変更する。 ・輸入者は輸入許可証を送り、輸入許可証に要求される事項を行うテストや検査を輸 出国に要請する→日本の動物検疫合格証明の申請のこと。 ・実際に貨物が到着する日時の少なくても 3 日前までに、輸入港の動物検疫機関まで 船積本船や搭載便を届け出る(施設準備のため)。 ②輸入時の手続 ・検疫担当官は、輸入許可を税関に対して発行する。輸出国の衛生証明証(日本の動 物検疫合格証明)は実際に輸入検査が行われる前に提出される必要がある。 ・申請書類とともに貿易関係書類も添付する。 ・生きている動物等は、病原菌等の状況を調べるため隔離され、一定期間経過措置を みることもある。 動物検疫で求められる輸入国の情報は次のようなものである。あらかじめ準備・控え ておく必要がある。 ・包装状態・形状 ・個数・重量(ネット) ・製造者の名前、住所 ・輸出入者の名前、住所 ・畜殺・製造、袋詰め、輸出 の各日 -56- タイでの基本的な動物製品の輸入条件は次のようになっている。 ・病気がないこと→この項目で日本の牛肉や鶏が該当する。 ・生産したものの農場や場所は畜殺の 12 ヵ月前にさかのぼってなんら病気や問題がない こと。 ・輸出国で輸出する動物が生まれ育ったこと、あるいは畜殺の少なくても 4 ヵ月前には 輸出国に存在していたこと。また、輸出国あるいは輸入国が認めた農場の産品である こと。 ・肉や製品は健康に害する保存剤や添加物その他の物質を含まないこと。 ・肉や製品は健康であること。タイ国基準や Codex のような国際基準に則り、ホルモン、 添加物の人体に悪影響を与える物質が基準以下であること。 また、輸送については、輸出国からはダイレクト航路であることが求められており、地 方港に多いタイ経由の船を利用すると、輸入ができないリスクがある。

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_enkatu/manual_2005/pdf/thai_04.pdf

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